明けましておめでとうございます。
首席コンサートマスター、クラリネット奏者の翁優子です。
本年もよろしくお願い致します。
今回は昨年末にシカゴミッドウェストバンドクリニックに行ってきた時の様子をお伝え致します。
10年ほど前は毎年のように足を運んでいたシカゴミッドウェストバンドクリニック。
今回は70周年ということで、久々に足を運んでみました。
シカゴ到着、気温は氷点下18度。
シカゴの冬はとても寒く「windy city」と呼ばれる位風が強い。今年は寒波も来ており一段と寒かった。
以前はシカゴヒルトンホテルで開催されていた催しも、数年前からマコーミックプレイスというとてつもなく大きなコンベンションセンターに移動している。
ヒルトン時代しか知らないので、大きさにまず驚きました。
ミッドウェストバンドクリニックは吹奏楽だけでなく、オーケストラ、アンサンブルも含まれるクリニックで、演奏や講座は館内のあらゆる大きさの部屋に分かれて同時に進みます。それを自分で選んで足を運ぶ仕組みになっています。
展示ブースは、出版社や楽団のブースと楽器・譜面台、指揮棒といった音楽用品のブースとに分かれています。
ヒルトン時代は出版社ブースにフェネルやリードが普通に立っていたり、狭い会場にぎっしり珍しい物があったのですが、今は会場が広い為、スペースもゆったりしていて熱気は以前ほどでは無いと感じました。
今は日本の情報も早くなっており、目新しい情報も余り無いように感じました。
アメリカでは吹奏楽やオーケストラが部活ではなく、授業として取り入れられている為、楽器や楽譜も教育目的の内容の物が大半を占めています。楽器も比較的安価な物が多く、子供達が多勢で試奏していました。金管のマウスピースを落とした時の傷を自分で修復するキットもあり、教育現場に焦点を合わせているのが明白です。
楽譜に関しては価格が日本よりかなり安く手に入るので、クラリネットと木管五重奏の楽譜を大量に購入してしまいました。
(帰りの荷物が重くて大変!)
演奏グレードの低い合奏曲やアンサンブル曲も膨大な量があり、全てを見るのはかなりの時間を有します。初心者に合奏を楽しんでもらう為のレパートリーは豊富で、吹奏楽が授業であることが良く伝わります。
演奏はアメリカの子供達によるjazz bandや、オーケストラ、地域の吹奏楽団の演奏などを聴きましたが、楽しむ事が基本で、お客様もリラックスして聴いているのが印象的でした。
カナディアンブラスもゲストで出演していましたが、クリスマス曲を中心におしゃべりでお客様を楽しませるスタイルで、終始和やかなステージでした。
今回は日本から玉川学園、陸上自衛隊中央音楽隊クラリネットアンサンブル、東京藝大ブラスが出演し、見事な演奏を披露されました。
日本の演奏は緻密でレベルも高く、日本とアメリカでは吹奏楽に対する意識の持ち方に違いがあるように感じました。
教育としての吹奏楽、芸術としての吹奏楽。
一言で吹奏楽といっても演奏する側、聴く側の意識でまだまだ世界が広がる分野だと実感しました。
バンドクリニック以外にも、シカゴ交響楽団のクラリネット奏者、J.Bイエー氏のレッスンを10年ぶりに受けたり、シカゴ交響楽団の演奏を聴いたり、沢山の充電をして帰国しました。
これを糧に今年も頑張りますので、本年も広島ウインドオーケストラ共々よろしくお願い申し上げます。
記事執筆:翁優子(首席コンサートマスター、クラリネット奏者)